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December 23, 2006

あれからざっくり20年

アフィリエイトから引っ張ってネタ振りに...あれ???、この本こんなに安かったっけ????。本棚を確かめますに...4,800円。でも、ワタシんちのは昭和60年当時の版でありますから、最新版では価格も改定されたのでありましょう。
概ね縦21cm横15cm厚さ5cm。近代日本黎明期の絵画と文学の相互作用を比較文化史の方法論で論じた、ざっくり650ページの労作にして快作であります。
ご興味の向きは図書館で借りてこられ、お正月休みにじっくりお読みになるとよろしいかと思います。難しく考えるこたぁないです。達練達意の文章でございますからして、「れきしよみもの」としても楽しく読めます。

この本の第2章は「画家の留学」。んでもって「森鷗外と原田直次郎」「グレーの哀歌---黒田清輝の場合」の2部に別れてます。明治洋画界における所謂"旧派"と"新派"の成立と、その2つの派閥を争わせてしまう時代の流れを論じてるワケであります。

この厚い高い本。1985年当時、某2.5流私立大学(^^;文学部日本史学科の学生にして文化史,絵画史をやりたくってムズムズしてたワタシは無理して買い込んで強引に読みましたです。文化史,社会史,比較文化論,文化人類学なんてモンがキラキラしてた時代ですから、多分に「ふぁっしょん」であったコトは否定しません(^_^;)。
それが証拠に、手元にあるのはワタシが当時買ったモノでは無いです。友達に貸したら有耶無耶になりまして...じゃぁ買い直したのかったらそうではなく、我が姉様の本箱から借りてきて以後有耶無耶と...フキフキ ""A^^;。

なにはともあれそれから20年経った2006年。静岡県立美術館の秋の目玉は鷗外と原田直次郎をメインに据えた「森鷗外と美術」展...って先週で終了してますけど【爆】。

のつのつと展示を見て行きますと...

幕末の洋風表現の導入からはじまり、原田直次郎たち留学一期生がやっとの思いで「タブロー」ってモノのつくりかたを会得して帰朝し、さぁこれからと思ったけど時代は岡倉天心の日本美術論に乗っちゃって油絵描きは不遇。天心が退いたら退いたで黒田清輝たち「外光派」の「新派」が帰朝し、世の中みんな今度はそっちに乗っちゃって...嗚呼...。
でも黒田清輝にしたって本当は「日常スケッチ」をやりたかったワケじゃなくって、「モチーフ」を通じて「テーマ」を主張する「タブロー」やりたかったし、実際やったんだけどそちらは認めて貰えず...世間的には成功したけど...嗚呼...。
んで。鷗外は見る目も確かだったんで"新"とか"旧"とか言えるほどには成熟してない当時の日本の現状を冷静に把握し、次の世代の画家さんたちに的確なアドバイスを終生おくったのでありました、と。
ついでに言うと、明治初期の洋画って、今で言う「記録写真」の役割も持ってました。んで、鷗外は軍医総監だったし、医学の症例,戦闘における怪我の状態なんかも克明に描かせ(エラく克明に描いてるから気持ち悪いのなんの。博物館,美術館で「刺激が強いからお子様は注意」なんて但し書きはじめて見た(^^;)たのでした。

....と、ゆーよーな内容の展示と見ました。今年の県美の展示じゃ一番見応えありましたですm(__)m。あ、あんまり欲しくはならなかったです(^◇^;)。


で。そうとは謳ってないけど最初に挙げた本の内容に添った展示なワケです。一つのモノの見かた。新しい考えが発表され、淘汰され練られ一般化するには20年はかかるんですねぇ...とかも思っちゃいました(^^ゞ。

そいでもって。

原田直次郎の名作「靴屋の親爺」も随分久しぶりに見たし、黒田清輝の「智 感 情」も初めて見たし(こんな大きいとは思って無かったです)...だけども同時代の日本画も面白いし、どっかで和洋を混ぜといて時代でぶったぎったよな展覧会やってねーかな。昔々国立近代でやった「写実の系譜」シリーズのよなのが....って当たってみたら、やってましたよ(^^)。東京国立近代美術館「揺れる近代」。会期は12/24迄。見逃しちゃ損だから、本日12/22に出かけてきましたです(^_^)。

展示されてる作品自体は既見のモノが多かった...すなわち名作大作代表作揃いってコトであります(^^ゞ。とはいえ各々のジャンルや画家さんのくくりでしか見てないですから、柵をとっぱらって同時代の作品を洋画,日本画,京都画壇,東京画壇の区別無く見せて貰えたのは新鮮でありました。
やっぱ画家さんといえど人の子。時代の雰囲気とは無関係では居られないですねぇ...あ...そっか...最先端を見極めるセンスと、前衛を張り続ける体力がなきゃ芸術家にゃなれないですね、そもそもf(^ー^;。

で。浅井 忠「琵琶法師」,速水御舟「デッドシティー」,土田麦僊「鮭之図」の3点が気に入っちゃって...たまらなく欲しかったですけど、明日は天皇誕生日とて皇居周辺には警察屋さんがたくさん展開してるし、増して東京国立近代美術館は天下の第一機動隊のお隣なので大人しく立ち去り....

....柄にも無くこんなトコロ↓に立ち回り....

Rimg0076_2
大きめ画像

...いけませんか???、ワタシが数寄屋橋メゾンエルメスにいっちゃぁ????。尤も買い物に行ったんじゃなくって、こことライカハウスでやってる「木村伊兵衛のパリ」なぞという写真展見に行ったですけども、ね(^^ゞ。

こちらの感想は、またいずれ...。

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Comments

手前の盛田さんとこではなくて、奥の方ですね。
ばりばり光学測定機器メーカーのカメラ部門もグローバルなのれん商売の波に飲み込まれたのですよね。
一時期は不採算部門で本丸から切り売りされていたのですから、さもありなんの結果ではありますが、M&A先が豪華絢爛ブランドコングリマリットとはねえ。
まぁ、あちらさんは自動車なんぞもちょこっと手を出しておりますし、被服を除けばそもそも自動車、時計、写真機は男性向けのブランドもんとしては王道ですし。
絵の方はあれですが、写真の方ならまだまだついていけそうです。
まぁ、何でも触ってしまう2歳児を連れてではなかなか展覧会やギャラリーは行けないです。といいつつ、百貨店の展覧会などは新聞屋のタダ券のついでにいってますが。
木村伊兵衛さんだとモノクロですよね。
いつの頃のプリントか気になるところです。印画紙上のトーンって印刷や画面上では再現し切れないですからね。(ま、ネガの情報も印画紙上では表現し切れないですが(わはあはっ。))
見果てぬ夢は暗室内で著名人のモノクロネガを引伸機にかけてみたい。イーゼルの上で見てみたいです。ははは。

Posted by: 「ね」 | December 24, 2006 at 12:19

>木村伊兵衛のパリ
それはやっぱ,↓の本に沿った展示ですかね.
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20060807bk0b.htm?from=os1

Posted by: 「い」 | December 24, 2006 at 22:36

>「ね」様
自慢にもなりませんが、ワタシは精神年齢が低いため、大理石とかブロンズってどんな感触なのか確かめたい欲求が強く、ケースや柵の前でムズムズするコトが多いですf(^ー^;。こーゆー人種は多いのか、最近は「ブロンズぐらいならぺたぺた触ってもいい」っていう展示をする館も増えてきてますね(^^)。

>>木村伊兵衛さんだとモノクロですよね。

これがメゾンエルメスのほうは全てカラーでした。ライカハウスのほうはモノクロでしたが数点だけの展示。
ほんでもって展示プリント作成技術協力はキヤノンと謳われておりました。デジタルスキャンしてプリントしなおしたモノかと思われます。
メゾンエルメスの展示はコンスタンティン・グルチッチという空間デザイナーさんによるもので、壁にかけるのではなく額装してテーブル上に立てるという一風変わったモノでしたが、見やすく楽しかったです(^^)。

Posted by: 1sugi | December 25, 2006 at 20:16

>「い」様

>>それはやっぱ,↓の本に沿った展示ですかね

流石...その通りでございます(^^)。
カラーですが視線の転がり方や被写体との関係はもぉどうしようもなく「木村伊兵衛」でしたです(^^ゞ。
木村伊兵衛カラーの仕事をじっくり見たのは初めてですが...色の感じは...そぉですねぇ...版画の小林清親,洋画の浅井 忠みたい、とか思いました(^^ゞ。
さらに「一見穏健で健全で普通で静かなんだけど、よーく見るとねちねちねちねちオカシなコトをやってるタチの悪い変態性(^^;」は安井曽太郎っぽいな、とも。でも、前述の通り、やっぱり「木村伊兵衛」の世界、でした。

Posted by: 1sugi | December 25, 2006 at 20:29

先年に本が出てから,木村 伊兵衛がどんな色を出してるか気になってたんですよね.
もっとも,撮影時期を考えると褪色もそれなりにあると思うので,木村 伊兵衛の色出しそのままを観られると思ってはイケナイんでしょうけど.
でもやはり観ておくべきなんだろうなぁ自分も.

Posted by: 「い」 | December 26, 2006 at 04:49

>「い」様
「木村伊兵衛のパリ」展の会期等は以下です

・会期 〜2007.1.21
・公開時間 11:00〜19:00(入場は18:30迄)
・12/30〜1/2,1/17は休館

ご覧になった上での御感想など頂けると楽しいな、と(^^ゞ。
    

Posted by: 1sugi | December 27, 2006 at 19:37

アレまぁ。カラー作品が主な展示だったとは浅学をさらけ出してしまいましたねぇ。
カラーなら印画紙もデジタルプリントもあまり差がないかなぁ。映画の世界では某押井さんがデジタル処理したものもフィルムに焼き付けないと質感が落ちるって主張しているようですが。
モノクロだと差はあるはずなんだよなぁ??ゼラチンシルバープリントの暗室用品もこの数年でぐっと小さくなっちまいましたが。

Posted by: "ね" | January 28, 2007 at 16:24

結局,数寄屋橋まで行く序でがなくて見逃しましたが,このときの撮影はフジのスポンサードだったんでしたっけか,本で見ても明らかに当時のコダクロームとは違う発色ではありますね.

ところで,話の序でですが,ソニービルの建築は,武蔵美のキャンパスや駒沢体育館や東京芸術劇場なんかを設った芦原 義信先生の全盛期の作品でありまして,半世紀前の古物にもかかわらず見た目にあまり古色が無いので有り難がられず,どうせ保存運動なんて起こる筈も無くそのうち壊されてしまうに決まっておりますので,健在なうちに気合入れて観ておくと宜しいかと存じますw

Posted by: 「い」 | January 30, 2007 at 05:11

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ふと気付いてみますと,ワタシはここ数日,外に出ておらない. 特に閉門蟄居を申し付けられるような不祥事を働いたわけでもなければ,机から立つ暇もないほど仕事が忙しいというわけでもございませなんだが,時としてこのような巡り合わせはあるものですな. 若い頃には,こ..... [Read More]

Tracked on January 26, 2007 at 01:14

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